スペインの今が見える!スペインの旬なスタートアップ

世界経済が目まぐるしく変動する昨今、将来の大きな成長が期待される多くのスタートアップ(新興企業)が世界各国で誕生しています。

今回は、人口325万人以上を抱えるヨーロッパの中心都市の一つであるマドリードや、サグラダ・ファミリアなどの建築で知られるガウディの作品群があり、日本人観光客も多く訪れる人気の観光都市バルセロナを有する国「スペイン」で注目の勢い溢れるスタートアップ5社を紹介します。

Cabify


参照:https://cabify.com/en

 マドリード発の「Cabify」は2011年5月、スペイン出身の起業家フアン・デ・アントニオによって設立された、モビリティサービスを提供する企業です。同氏は世界各地を旅行中、タクシー料金の交渉や様々な料金体系、異なる通貨での支払いに苦労したという自身の実体験から、インターネット上で交通手段を提供することを思いついたと言います。

Cabifyの提供するサービスはドライバーと乗客をマッチングさせるサービスですが、既存のタクシーやアメリカ発の配車アプリUberなどと異なるのは、アプリで出発ポイントと目的ポイントを決めた時点で基本的な料金が確定する点です。実際の道の混雑具合やドライバーの選んだルートによる料金の変動がないので、土地勘のない旅行者でも安心して利用することができます。ドライバー登録についても、厳密な審査をパスした自動車の持ち主のみが登録可能となっており、自治体などから許可を取った合法的なサービスになっています。

Cabifyはスペインでのサービス開始1年後には中南米に進出し、一気に話題となり知名度を上げて国際企業となりました。現在では メキシコ、チリ、コロンビア、ペルー、ブラジル、パナマ、エクアドル、アルゼンチン、ドミニカ共和国、ウルグアイなどで大きな成功を収めており、「南米のUber」とも呼ばれています。

Spotahome


参照:https://www.spotahome.com/

2014年にマドリードで設立されたプロップテックのスタートアップ「Spotahome」は、観光客やビジネス旅行客をターゲットに大規模・中規模住宅の賃貸アパートメント情報を紹介しています。現在は、潜在的なニーズがあるものの、観光客やビジネス旅行客をメインターゲットとする賃貸サービスを行う競合が少なく、Spotahomeは市場でひときわ目立つ存在となっています。2017年にはイタリアなど国外への進出を開始し、新しい市場拡大への第一歩を踏み出したことで国際企業へと成長しました。

Spotahomeが提供するサービスは、100%オンライン予約プラットフォームで行われ、通常のアパートやコンドミニアムタイプ、学生寮までを網羅しており、年齢や職業にとらわれない幅広い顧客層の支持を集めています。また利用客に提供する物件写真や間取り図、周辺情報を始めとする情報の質にこだわり、地元の貸主と外国人テナント間のコミュニケーションや言葉の壁を解消するため、多言語サポートも提供しています。2018年4月現在、36都市でサービスを展開。月間ユーザー利用回数は60万件を突破しており、ニッチな市場で破竹の快進撃を続けています。

DRONE HOPPER


参照:https://www.drone-hopper.com/

「DRONE HOPPER」は、従来の防火技術からさらに安全性、柔軟性、効率性を重視した消防用ドローンの開発を手掛けるマドリード発のスタートアップです。

DRONE HOPPERによって開発された消火活動特化型ドローンは、火災現場において消防士への空中支援を行います。ドローンには最大300リットルの水を積載可能とするタンクやサーモグラフィカメラ、ナビゲーションシステムが搭載されており、地上で消火活動にあたる消防隊員は、ドローンから送信される地形や大気条件などのリアルタイム情報を取得できます。

ドローンは昼夜を問わず様々な条件への適応が可能で、噴霧される水は無人機のプロペラによって生成された風を使用して、火災の直上に噴霧されます。また火災の種類に対して噴霧量を適量に制御する磁気システムも搭載されています。

WAYNABOX


参照:https://waynabox.com/es

 

「旅に驚きを」をテーマにバレンシア州で設立され、斬新なトラベルスタイルを武器にスペイン旅行業界の風雲児的存在となった「WAYNABOX」。

取り扱う旅行商品はユニークで、€150で航空券とホテルがセットになったパッケージツアーなど、その価格は目を見張るものがあります。しかしこのWAYNABOXが一躍注目されることとなった理由は価格ではなくそのコンセプト。利用者は出発地を指定した後は、行きたくない都市を選び、旅費を支払うのみです。出発2日前まで最終目的地が明かされないというコンセプトは、「事前に計画を練って旅行する」という従来の旅の概念を覆した発想といえるでしょう。

この新たな旅のスタイルが若者を中心に人気に火がつき、スタートアップヨーロッパアワードの観光部門で見事に1位を獲得し、ヨーロッパ中で知られるサービスになりました。

大の飛行機好きという創業者のPau Sendra氏は、旅行計画の際に航空会社を選んだり、常に変動するホテル価格や数え切れないほどのレビューの確認に面倒さを感じるとともに、旅行の準備中からわくわくさせるさせるような方法はないか、と考えていました。より楽しくエキサイティングな旅を、驚きの方法で提案したいという考えのもとに誕生したのがWAYNABOXなのです。

Glovo

参照:https://glovoapp.com/en/

2015年にバルセロナで設立されたスタートアップ「Glovo」は、アプリを介して注文した商品の購入からピックアップ、そして配達までを行うオンデマンドサービスです。通常のネットショッピングと異なる点は、自宅配送サービスを行っていない店舗の商品であってもネットショッピングを行えるようにするという画期的なサービスです。専用アプリから購入を行うと、Glovoの配達員が現地に行って商品を購入し、自宅まで届けてくれます。プラットフォーム内には、レストラン、花屋、薬局などのショップの名前がずらりと並んでいます。

スペインで徐々に知名度をあげたGlovoは、既に国内12都市を始め、フランス、ポルトガル、イタリア、チリ、アルゼンチン、ペルーとそのサービスを拡大しており、2018年には300万件を超える利用回数が予想されています。中南米における事業では、この記事で既に紹介したモビリティサービスを提供するスタートアップ「Cabify」と提携しサービス拡大を図っています。

ここで紹介した5社以外にも、スペインでは勢いのあるスタートアップが毎年のように産声を上げています。イギリスやフランスのスタートアップと比較すると、スペイン経済の中軸マドリードやバルセロナといった都市を中心にスタートした企業は国内で成長後、近隣のヨーロッパ諸国だけでなく、スペイン語が広く公用語として使用されている中南米へ進出するというビジネスモデルが多くみられます。ヨーロッパ諸国や中南米との共通点を絶妙に併せ持つスペインのスタートアップは、広く大陸を超えたグローバルカンパニーとなり得る大きなポテンシャルを秘めています。

 

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投稿者プロフィール

宇佐美 海太
宇佐美 海太
1985年東京生まれ。ポルトガル留学後、早稲田大学国際教養学部卒業。
大手製造業の映像プロデューサーとして各種PR動画の企画・プロデュースに従事した後、「日本と海外をつなぎたい」と決意し、株式会社インフォキュービック・ジャパンに入社。現在はマーケティング部のマネジャー として、多数のクライアントの海外向けコミュニケーションデザインを通じ、お客様と世界をつなぐコミュニケーション創造に心血を注ぐ。趣味はプロレス鑑賞。